自閉症スペクトラム障がいがあり知的にボーダー域の息子。専門学校を卒業してから就労移行支援を経て、特例子会社の社員として働いています。
親元で生活しているうちは生活できていても、将来の息子の生活を考えると、仕事を辞めてしまうこともあるかもしれない、ずっと健康で働いていけるのか、今のまま働くことができたとしても現在の収入だけでは厳しいだろうと感じていたこともあり、障害年金の申請をすることを決めました。
同じ障害を持つ親御さん達と年金の話をするうち、障害年金を受給するのは意外と難しいと感じていました。息子本人の困難さは親としては理解していたつもりでも、年金の請求ではそれを伝えるためにまとめる作業が必要です。その伝え方ひとつで受け止められ方が変わってしまうのではないかという思いがありました。周りには親が申請している方が多く、様々なアドバイスはとても参考になりましたが、障害のある人の困難さは一人ひとり違い、特に、発達に凸凹のある息子の数値だけでは判断できない困難さをどのように伝えたらよいのかとても悩みました。
そんな思いを抱えながら、年金の申請をしたという方に会って話を聞いたり、自分の悩みを相談するうち、年金申請の専門家でもある社労士に相談するのも一つの方法かもしれないと考えるようになりました。年金の申請に必要な書類を用意してもらい、相談しながら進められるのは自分にとってとても心強かったと思います。
申請から結果が出るまでは数か月、思いのほか時間がかかり、期待しながら結果を待ちましたが、結果は不支給でした。以降、再請求も行いましたが年金は通らず、この間に息子は22歳になっていました。やはり息子の状態では年金は難しいのかと一度はあきらめたものの、仕事をして働くようになり、自立を見据え新たな課題が見えてきたことで、やはりどう考えても息子には支援が必要で、今後、生活を支える上で年金も必要だと改めて感じるようになりました。何よりも、息子本人が申請したのではなく、代わりに親である私が請求して通らなかったことに申し訳なさを感じていたのだと思います。
それから2年後、これで通らなければあきらめようという思いで再度申請を行いました。一度目の経験を活かし、一度目とは違う社労士さんのアドバイスをできる限り活かして様々な書類を丁寧にそろえました。その中で診断書の作成、とくに本人の困難さをいかにして伝えるか、その言葉一つ一つが重要であることや、ちょっとした工夫が息子の様子を伝えるための大切なポイントになることを知りました。障がいがあるがゆえの困難があり、その困難さが伝わらなければ年金の受給には至らない、そんなことをとても感じながら、申請を通して自分自身、とても勉強になったと思います。
そして二度目で無事、年金の受給に至り、息子も元気に働いている姿を見ると、少しばかり肩の荷が下りたような気がしています。年金の申請は対面ではなく、書面上のやり取りだけで行われます。だからこそ書類の一つ一つがとても大切であり、それで判断される以上、丁寧に、困ったときには頼れる人に相談しながら進めてほしいと思います。障害年金の受給が必要な皆さんがしっかりと申請し、受給できることを願っております。